著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
渡部 昇一
昭和5(1930)年山形県生まれ。同30年上智大学大学院修士課程修了。ドイツ・ミュンスター大学、イギリス・オックスフォード大学に留学。Dr.phil.,Dr.phil.h.c.専攻は英語学。上智大学教授を経て、上智大学名誉教授。幅広い評論活動、著述活動を展開している
露伴の随筆「努力論」「修省論」「靄護精舎雑筆」は著者の座右の書である。特に「努力論」を中心に、難解な露伴の文章から言葉を選んで訳し、現代的な例をつけ加えた。露伴のエッセンスを伝える・・・・アマゾンより引用
「幸福三説」、幸福については三つの考え方があると言います。惜福(せきふく)、分福(ぶんぷく)、植福(しょくふく)です。「庭に大きなリンゴの木があって、年々大きな実をつけるとしよう、そんなリンゴの木があれば、木の姿や花を愛で、新鮮な果実を口にできるだけで、十分幸せだ。ところが、そのうえ欲張って、たくさん実らせ売って儲けよう、などと考えると、数が多くなれば一つ一つの実は小さくなり、木も疲れて来年の実を十分つけられなくなってしまいます。むしろ実が小さいうちら摘果して間引くほうが、個々の実は大きく成熟し、木の負担も少なくなる。この摘果が惜福、「つまり、幸福を満喫しようと欲張らず、控えて抑制するのです。福を惜しむから、惜福です」分福とは、自分の幸福を周囲に分かち与えること。「リンゴが実ったら、家族だけで食べるのではなく、ご近所や友だちに配るのです」俗にいう「雪隠(せっちん)で饅頭(まんじゅう)を食う」ような生き方を、露伴は戒めています。トイレに隠れ、まんじゅうを独り占めして食べても、決しておいしくない。それよりは仲間に分け、談笑してお茶を飲みながら食べるほうが、よほどいいと思います。「従業員や取引先に福を与えようとする商人は成功する、と彼はいいます。なぜなら、福を分けてもらう人は、その商人の福が続くことを願うからです」そして植福。「もっと多くの人がリンゴを食べられるように苗木を植える、といえばわかりやすいでしょう」庭にもう一本植えたリンゴが実るようになれば、それだけ食べられる人がふえる。さらに荒地を開拓して何十本、何百本もの苗を植えていけば、リンゴ産地ができる。多くの人がリンゴ作りで生活できるようになる。「そうすれば自分の福もうんと大きくなります。そして、自分の福を社会に還元することにもなるのです」・・本文を一部引用
原著は幸田 露伴の「努力論」です。漢文が多くなかなか読みにくいので、渡部先生の翻訳?を読んでみました。今まで、この露伴と言う名前が妙に印象に残っていたのですが、語源は、野宿をしながら生活をしていた時に「露と伴に・・」だそうです。幸田 露伴の生涯を語るに、私ごときでは、到底及びませんので、詳しくは 原著をお読み下さい。
「福」素晴らしい教えですが、原著は何せ漢文調ですので、色々な解釈が成り立つようです。私の自分の生き方中で自戒を込めて「少し損をして生きる」があります。
ガツガツしてはいけません。少し損を承知で生きるぐらいが丁度良いようです。
「絶対損をしてはいけない」「絶対失敗してはいけない」・・・・
そういう生き方には運は来ないようです。
―――手触りのいい紐は 不幸を引き連れてくるーーー
「運のいい人が運を引き寄せるために引っ張っている紐は、決して手触りのいい絹糸でできているわけでわない。自分が傷つくような紐を引っ張っているうちに、大きな運がやってくる・・・・」・・本文より引用
運と書いて「運ぶ」と読みます。
あなた様が引っ張っている紐はどんな紐ですか?
良いお年をお迎え下さい♪